「ない」という底なしの闇が好きになった。
ゆっくり味わって読んで
いよいよ最終の13章。
読みかけて本を置いた。
胸に迫ってきたこの感覚をなんと書こう。
そう思いつつ、迷いつつ綴っています。
「死と夢」から始まる最終章。
読んでいるこの日曜日の日暮れ時
わたしは
「ない」
という力強さに目覚めたよ。
テオちゃんのいないさみしさの質が変わったのは、11月に入ってからのこと。
「さみしいという喪失感」よりも「いないことが不思議」という感覚へと移り変わっていた。
もちろん、寂しい悲しいは厳然としてあるけれど。
あったものがない、ないってなんだろう?
と幼稚園生みたいにピュアに「ない」に接している。
自分に問うている。
鼓動は止まり、息をしなくなった。
『それが死?』
だから肉体はなくなった。
だってお骨になったでしょう。
『うん、確かに。
それでもどこかへ行ったのでも
いなくなったのでもなく
ただただ、ほんとうにもう
「ない」
ってものすごく不思議なんだよ』
★
今日までは「ない」が穴だった。
それは欠けているもの。
そして、みつろうさんの本を読んでいる最中に
目に浮かんだ
テオちゃんの姿。
いまから家に帰って
ドアを開けても
もうそこにはテオちゃんはいない。
ドアから飛び出してくるポメたんと違い
日頃は怖がりじゃないのに
ドアのところにちょこんと座って
動かなかったあのクリーム色の姿。
そう、もうないのだ。
圧倒的にないのだ。
そのとき深い静けさがやってきた。
喧騒のカフェの中なのに。
★
生意気にもこれまで、満たされる生き方を説いてきた。
でもそれはどこまでいっても
「満たされよう」
だったんだね。
「足りない」
「満たされていない」
ということの豊かさに
この瞬間気づいてビビった!
「ない」という圧倒的な「ある」
おっかしいね♪
それはまるで大自然の中で味わう暗闇のような。
真っ暗なのに、たくさんのものが息を潜めているような濃密さ。
「ない」という底なしの闇が好きになった。
もっと仲良くなりたいと思った。