グリーフケアのように。見守って、見守られ。
今回テオちゃんの旅立ちシリーズでたくさんの記事を書いていますが。
ウツからの回復で培った、いろいろな経験が役に立っています。
なかでも「感情をコントロールしないこと」
これがいちばん役に立っています。
早く忘れようとか、悲しまないようにしようなど一切していません。
「あまりにも人前でどう?」っていう時は仕方なく我慢しますけれども。
それ以外は感情のままに、自然のプロセスにゆだねています。
(この前もみんなで行ったカラオケでひとり号泣してましたw)
これはシンプルで効果的なグリーフケア(悲嘆から立ち直るサポート)であり、レジリエンス(精神的な回復力)に直結しているからです。
先日、母が階段で転んでけがをした時に思いました。
同じだなあと。
「歩けるようになったら、どこに姿をくらまそうかと思ったわよ」
と冗談半分で言っていまして。
それは父が
「やる気はあるのか?」
などと、早く治すように急かしていたから。
「痛みよりもなによりも、それが本当に辛い」と母いわく。
その後父は謝ったらしいですが
経営者の癖で、すぐやる気とかの話にもっていくんですよねえ。
困ったもんだ。
それだけ父も(実は)ショックだったのだろうと理解し、さりげなくフォローしてみましたが。
なので見守る立場にある人へのお願いでございます。
ウツや引きこもり、不登校。
それからケガや病気なども含めて。
「早く治して前へ進もう」と言わないでください。
「早く元気になりたい」
「早く立ち直らなきゃ」
「このままじゃダメ」等々
本人がいちばんそう思っているのですから。
さらには
「自分が悪い・恥ずかしい」等々
自分のことを責めてしまうのも本人です。
当人の心って
ショックだったり落ち込んでいたり・・・
ふちまでいっぱいになったコップのようなの。
めいっぱい複雑な想いを抱えてがんばってる。
だから周りからの冷たい一言で
「あっ」とこぼれてしまうのね。
どうか、焦らせないで。
(当人もね、どうぞゆっくり)
このあたりはグリーフケアと同じです。
悲しみへの準備はできません
人は病気や悲しみについてなど自分の世界観が変わるほどの変化や不都合なことへの対応は後手後手となりがちです。これはしかたがないことであると思います。
実際、死別経験者は、感情にふたをしてしまい十分に悲しむことができずに、長年にわたる未処理感を燻(くすぶ)る人と、また一方では、予想を超えるような感情のゆさぶりに苦しむ人々がいます。今後は後者のような方が増えていくかもしれません。☆
この苦痛の期間とは、まさに“人生危機”の時期にあたりますが、キチンと対処がなされれば、発想や生き方までも変えうるような個人のパラダイムシフトへとつなぐエネルギーを秘めてもいる大切な時でもあるのです。
死別を経験しグリーフに陥り、突然不慣れな環境におしこまれた時に、じっくりと繰り言を傾聴してくれる人、さりげなく寄りそうサポート・ケアは大変心強いものです。サポートにより自ら進むべき道を確認するきっかけになります。これらの援助を「グリーフケア」といいます。
日本グリーフケア協会より一部抜粋
http://www.grief-care.org/about.html
ウツや引きこもり、ケガ病気などは、誰かが亡くなったわけではありませんから
「そんなオーバーな」
と思うかもしれませんが。
でも
「小さな死」
ととらえて、本人のペースで受け止める期間を作りましょう。
「これまでの当たり前」を喪失し
「望まない状態」へと移行しているわけですから。
グリーフケアで大事なことは
「充分に悲しむこと、悲しみをなんらかの形で表に出すこと」
であるように
急がば廻れです。
いまを受け入れることが、先へと進む早道です。
そしてもうひとつ
面倒みたり、見守っている側も、実はとってもとっても大変なんですよね。
優しくしたくても出来なかったり、知らずに追い詰められたりする。
これまた自然なことです。
「これしきのことで」
などと思わずに、ぜひ誰かの力を借りてください。
カウンセラーや、メンタルケアのできる人に。
メンタルサポートをもっと気軽に、マッサージを受けるのと同じくらいの感覚でサービスを受けられる世の中になったらいいなと常々思っています。
だって心のケアは、なにか特殊なことでも恥ずかしいことでもないし。
「感情に素直になる=弱い=恥」
と思っている方も多いようですけども(特に男性)
感情を感じないって強さじゃなくって、不感症みたいなもの。
いつか身体の方が先に音を上げたりしないよう、ご注意を。